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自滅する中国 [活字中毒のトモ]


自滅する中国

自滅する中国

  • 作者: エドワード・ルトワック
  • 出版社/メーカー: 芙蓉書房出版
  • 発売日: 2013/07/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


ロシア政治経済ジャーナル の発行者、北野 幸伯さんが
メルマガで薦めていた本です。
北野さんのセールストークはおもしろくて、薦められた本をついつい購入してしまいます。
購入した書籍を実際に読んでみると「だまされた!」ということも多いのですが
たまに良書に出会えます。
さて今回はどうだったかというと・・・

この本の著者は、エドワード・ルトワックさんと言って、
戦略国際問題研究所(CSIS) の上級アドバイザーだそうです。
CSIS の Web サイトを見てみると、エドワードさんいらっしゃいました。
こちら にプロファイルが掲載されています。
同じページに、この本が出版された時の book event の映像も掲載されています。
1 時間以上の長い映像ですが・・・。
本書は原書が 2012 年 11 月に出版されていますが、実際にはもっと早くに書きあがっていて
出版が遅れたようです。book event が開催されたのは 2013 年 2 月となっています。
スピーチやその後のディスカッションはすべて英語ですが、
本を読むのが面倒な人は、この映像を見ると、本書に書かれていることが分かると思います。

エドワードさんは、「私は中国の専門家ではない」と言いながらも
中国が強国化する過程で生じる周辺国との問題を色々と指摘し
「中国は、自らの行動が原因で周辺国の顰蹙を買い、自滅する運命にあるかも」
という結論を導いています。

本書は 365 ページもの分厚い単行本で、読み切るのに大変苦労しました。
ただ、読了してみると、この本は「中国は XX 年後に崩壊する!」みたいな予言本ではなくて
あくまでも、中国の現在の国際社会での態度を見て、振る舞いがあまりにひどいので
だんだんと周りの国から距離を置かれ始めているけど、大丈夫??
と中国を心配する内容となっていました。

この本の原題は、"The rise of China vs. the logic of strategy" といいます。
邦題の「自滅する中国」とは全く異なります。
book event では、エドワードさんは「私は中国好きですよ」と何度も言っています。
それにディスカッションの時間には、中国人や台湾人、チベット人など
この本の内容にはかなり際どい国の人たちから、かなり攻撃的な質問を受けていましたが
その受け答えを聞いてみると、中国を叩きたいというよりは
国際社会が平和的に続いて行ってほしいというスタンスをお持ちのようです。
チベットの人には「中国みたいな熱狂的なスポンサーがついていて、いいことじゃないか。
あと 50 年もすれば、チベットは大発展するよ」とか言ってましたし。
少なくとも、民族問題をまじめに考えている方ではありません。
中国滅亡を期待する人が読むと、期待外れに終わる内容だと思いました。
ただ、中国が大国として台頭できるという内容にもなっていなくて
きわめて現実的な本です。

本書での日本に対するコメントは、しごく現実的で
ここ数年日本が中国よりだっったこと、またアメリカとの友好路線に戻っていること
ロシアと手を組む利点などを淡々と述べています。
この辺については、私も全く反論の余地はありませんでした。

「北野さんのお薦めにだまされた!」とはなりませんでしたが、若干難解で
読了後の後味が悪かったです。
人にお薦めはしませんが、興味を持たれた方はどうぞ。




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