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その後のツレがうつになりまして。 [活字中毒のトモ]


その後のツレがうつになりまして。 (幻冬舎文庫)

その後のツレがうつになりまして。 (幻冬舎文庫)

  • 作者: 細川 貂々
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2009/04
  • メディア: 文庫


細川さんの夫(ツレ)がうつで会社を辞めてから、3 年後のお話。
薬も飲まなくてよくなり、電話にも出られるようになって、
外出も可能になりましたが、発病前とはちょっとだけ違う人になった
脱皮後みたいなツレさんの様子が紹介されています。

旅行やコンサート、さらにはサラリーマンとして働くこともあきらめたツレさんでしたが
代わりに家事を引き受け、細川さんの仕事をマネジメントする会社も設立しました。

自分の居心地いい居場所が見つかって、良かったと思う反面
こんなに闘病を続けないと、その居場所が見つからないのかとも思いました。
なんでもっと簡単に、自分の居心地のいい暮らし方ができないのかしら。
人間が生きていくうえで、必要不可欠なことだと思うのですが。

そうはいっても、実際のところ私は夫に「イヤなら仕事やめれば?」と
言ってあげることができません。今の給料ではそんな大それたこと
とてもではありませんが言えないです。

そういえば以前も、夫が仕事で行き詰っていたことがありましたっけ。
それは今をさかのぼること 12 年前で、そのときは
「転職したいならすれば?でも転職先を暖かいところにしてね」
という恐ろしい条件を付けて、家族を沖縄にいざなったのでしたっけ。
今考えると、よく後先のことを考えずに行動したなと思うのですが
なんとか新しい仕事も見つかり、環境をがらりと変えることができて
夫は新生活に慣れるのに大変そうでしたが、かろうじてうつにならずに済んだのでした。
またそれと同じことをできるかと言うと、今は娘も大きくなり
高校に入学したばかりなので、すぐに転校と言うわけにもいかず
私が彼を養ってあげることもできないので、
「副業でもすれば?それが軌道に乗れば、そちらへシフトする方向で」
くらいのことしか言ってあげられませんでした。
・・・自殺者の内訳で一番多いのが、40~49 歳の男性であるという理由が
なんとなく分かりますね。今の生活が厳しいから方向転換しようと思っても
できないから死んでしまうのだという気がしました。

あと「こんなとき、どうする?」の章は、とても参考になりました。
うつは病気と言われても、症状だけ見ているととてもイライラさせられるというか
なんで自分だけ好き勝手なことしているんだろう?
時間があるなら、もっと家族のために使ってくれてもいいんじゃない??
と高望みをしてしまいます。
でもそうではなくて、健康そうに見えてもやっぱり病気で
そういう行動も「病気がさせている」と思えば、腹は立たないのだと思えました。
あとがきにも「病気ゆえに無能になり、治ってくると困った人になる」と書いてあって
確かに本当にその通り、でもとばっちりを受けるのは御免だな
なんとか直被弾だけは避けられるように、私も心の持ち方を考えないと
とも思いました。

薄い本の中に、生きるヒントがたくさん詰まった本です。



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