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いま生きる「資本論」 [活字中毒のトモ]


いま生きる「資本論」

いま生きる「資本論」

  • 作者: 佐藤 優
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2014/07/31
  • メディア: 単行本


過去に佐藤さんの本を買ったことがあるので、Amazon におすすめされました。
タイトルに惹かれてふらふらと購入ボタンを押してしまいました。

読んでみるとこの本は、新潮社が過去に開催した 新潮講座
「一からわかる『資本論』第一期」という講義(計 6 回)を
紙に書き起こしたものでした。
なので 6 章に分かれていて、カール・マルクスの資本論を読み込んでいく内容になっています。
私も 1 日 1 章ずつ読んでみました。
この本の内容をセミナーで受講すると、税込み 19,000 円くらいらしいです。
このコストを負担すると、生佐藤さんにお会いして、毎回宿題も出て
自分でいろいろ考えてまとめた小論文を、佐藤さんに酷評される経験などが得られるらしいです。
資本論を読み解いていくだけのセミナーなら、あまり面白くないですが
佐藤さんがご自分の見解をふんだんに入れ、真摯に受講者と向き合う様子が伝わってきて
ああ、このセミナーは、佐藤さんに会えることで、この値段の価値があるんだと思いました。
書籍で間接的に読むと、税別で 1,300 円。
軽い気持ちでセミナーに参加すると思ったら、安いのかもしれません。

威張れる話ではありませんが、私は資本論をまじめに読んだことがありません。
また官僚とか政治家とかいう肩書の方々の中に、
こんなに深く資本論を読んでいる方がいらっしゃるというのも知りませんでした。
資本論って、もしかしてすごく大事なの・・・?
こんな私の場合、1,300 円の書籍で十分でした。

読んでいくと、資本の論理がこれから社会をどのように煮詰めていくかが書かれていて、
自分の生活がどうして苦しいのか、なんとなく分かりました。

労働力をお金に変えるという行為が進んでいくと、
人を 24 時間働かすにはどうしたらいいかとか、
もっと安い賃金で働いてくれる人はどこかにいないかとか、
そういう方向に進んでしまって、人間が人間であることが実現できない
「社会全体がブラック企業」みたいな状態になってしまいます。
時に技術的なイノベーションが起こって、何かがもっと効率的に生産性が高くなりますが
結局は労働力の商品化は、完全には達成できないらしいです。
そりゃそうだ。誰も 24 時間働きたいと思わないですから(というか働けないし)

また以前であれば、家庭をつくることを資本が助けてくれたけれど
最近は効率化が進みすぎて、家庭は無駄なものだと切り捨てられてしまったので
結婚する人は少ないし、子供も生まれない。
これは資本主義が自壊するプロセスに過ぎない、と書かれていました。

うーん・・・そうであれば少子化対策とか、まったく無駄、ってことですよね。
あと自身の労働環境を振り返ってみると、
最近労働のアウトソースが盛んで、私の勤めている会社も例外ではなく
人件費の高い東京から沖縄へ業務移管するとか、はたまた海外に・・・
という流れが止まらないのですが、
移管するたびに作業の標準化が進んで、パフォーマンスの質がどんどん悪くなっています。
でも会社は「それでいい」と言うので、仕事のできる職人的な人には
とてもつまらない方向に、仕事の質がシフトしていると肌で感じていますが
そういうのもつきつめていくと、「資本主義が自壊するプロセス」だと。
このプロセス、私が生きているうちにどこまで進むかと思うと、楽しくなってきました。
まだまだ変化の多い世界と向き合えそうです。

本の中で、佐藤さんは色々な本を紹介してくださったので
いくつか読んでみようと思います。
それらについても、読み終わったらまた感想を書きます。






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