青天の霹靂 [活字中毒のトモ]
同僚が貸してくれました。
M さん、いつも本当にありがとう。
貸してもらってすぐに、会社で読み始めましたが
いい話すぎて泣きそうになりました。涙腺ゆるい人は、公共の場で読んではいけません。
轟 晴夫は、35 歳のパッとしないマジシャン。
「場末の小汚い雑居ビルの中でこぢんまりと営業」しているマジックバーで働いています。
いつかは一流、を目指したはずなのに、どうしてこの年までパッとしないのか・・・
ボヤきながらますますパッとしない毎日を送る晴夫の元へ 1 本の電話がかかってきます。
「あなたのお父さんがお亡くなりになったんです」
ホームレスだった父の死を告げる、警察署からの電話でした。
話の続きについては、ぜひ本書をお読みください。
もう最後には、涙があふれて止まりませんでした。
パッとしない人生を送る晴夫でも、あんなに望まれて
あんなに愛されて生まれてきた。
それを彼のお父さんは、どうして今まで教えてくれなかったのか。
そこがちょっと不思議ですが、最後にはお父さんのかわいい演出が功を奏して
晴夫が家出して以来会っていなかった 2 人のわだかまりが一気に溶けていきます。
そこへいきつくまでのドタバタ劇の描写が、なんとも劇団 ひとりさんっぽいというか
この人ほとんど、自分でコントをやっているノリで本を書いていらっしゃるんじゃないかと
想像してしまうくらいに、笑える要素もたっぷりあるのです。
ただし、要所要所では泣ける。とてもいいお話です。
このお話の中で重要なのは、もちろんお父さんです。
彼のキャラがこれほど立っていなければ、おもしろくもなかったし、泣けもしなかったと思います。
いいなあ、こんなお父さん・・・とは思うのですが、本当に実の父がこんな人だったら
やっぱり晴夫と同じく、家出をするかも。
親の心子知らず、とはちょっと違う、理想と現実の間の落としどころが難しい親子関係です。
あっという間に読めるのに、鼻をかむのにティッシュが 1 箱くらいいりそうです。
通勤や旅の友には絶対お薦めしません。
ですが秋の読書の友としては、超お薦めです。
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