SSブログ

小僧の神様―他十篇 [活字中毒のトモ]


小僧の神様―他十篇 (岩波文庫)

小僧の神様―他十篇 (岩波文庫)

  • 作者: 志賀 直哉
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2002/10/16
  • メディア: 文庫


林 修先生の特論
「志賀 直哉と太宰 治は女性にもてるけれど、田山 花袋と武者小路 実篤は、もてない」
を検証するシリーズ第 4 弾。
(これまでの検証: 第 1 弾第 2 弾第 3 弾
この「検証シリーズ」はこれで最後となります。
志賀 直哉の作品を一番最後に読みましたが、今まで読んできた「検証シリーズ」の中で
この人の作品が一番好きです。

こちらの「小僧の神様」は短編集で、全部で 11 話のお話が入っています。

1. 小僧の神様
2. 正義派
3 赤西蠣太
4. 母の死と新しい母
5. 清兵衛と瓢箪
6. 范の犯罪
7. 城の崎にて
8. 好人物の夫婦
9. 流行感冒
10. 焚火
11. 真鶴

「検証シリーズ」4 人の作品の中で、これが一番、
自分と他人を客観的に描写していると思いました。
話の内容としては、作者の身近で起こった出来事が書かれていることが多いのですが
描写が実に客観的で、良い心も悪い心も、分かりやすく描かれています。
悪い心とはいっても、この 11 篇には完全に悪い人は出てこないというか
むしろ良い人ばかり出てきて、良い人だからこそちょっとつらい思いをしたり
一方的に親切を押し売りするだけで終わることがありません。
読んでいて、とても安心できます。

確かに、こういう文章を書く人は、モテると思いました。
そして調べてみると、志賀 直哉の奥さまは、武者小路 実篤の従妹だそうです。
2 人が同人誌「白樺」を作った中心人物であることは知っていましたが
親戚づきあいをするほど仲がいいとは・・・作風は全くかぶらないのに不思議です。
私個人は、武者小路 実篤の作品はもう読みたいとは思いませんが
志賀 直哉の作品は、続けていくつか読んでみたいと思いました。
ただ短篇集だと、1 話読み終わるごとに、前のお話の余韻を引きずってしまって
次のお話の最初の部分が頭に入ってきませんでした。
なので最初の部分だけ何回か読み直して、頑張って伏線を覚えたりしました。
1 度お話に引き込まれてしまえば、あとは読むスピードがぐっと上がるお話ばかりだったので
こういう文章であれば、長編小説を読むと面白いに違いないです。
残念ながら、志賀 直哉の作品はまだまだ著作権が有効なので、
無料でダウンロードできません。お金を払って読もうと思います。

というわけで検証の結果、一番モテると思われるのは志賀 直哉、その次が太宰 治。
武者小路 実篤は確かに林先生の言う通り、モテるとは思えなくて
田山 花袋は最悪、という結論に達しました。
あくまで作風が、ですけどね。
林先生の言いたいことが、非常によく分かる結果となりました。







nice!(12)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 12

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0