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妻に捧げた1778話 [活字中毒のトモ]


妻に捧げた1778話 (新潮新書)

妻に捧げた1778話 (新潮新書)

  • 作者: 眉村 卓
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2004/05/16
  • メディア: 新書


空港の書店で、何となく購入しました。
短編がたくさん掲載されているので、飽きたら読むのをやめるのが楽かと思って。

1997 年にがんを患って入院された奥さまに対して
眉村さんはご自身で何ができるかを考えて、毎日短いお話を書いて
奥さまに読んでもらうことにしました。
奥さまも、読むことを了承してくださったので
眉村さんはご自身で以下のルールを設けて、短編小説を書き始めました。
1)短編とはいっても、400 時詰原稿用紙で 3 枚以上
2)エッセイにはしない。必ずお話にする。
3)病人の神経を逆なでするような話は書かない
4)ラブロマンスや官能小説、不倫なども書かない
5)話に一般性を持たせるため、固有名詞はなるべく使わない
6)夢物語でも荒唐無稽でもいいが、どこかで必ず日常とつながっていること
7)若者受けしなくてもいい

読んでみると、SF 作家の眉村さんですから、やはり不思議なお話が多かったです。
6)のルールがなければ、もっと不思議なお話になったかもしれません。
自分が使ったコインが数年の時を経て手元に戻ってくる話とか
多忙でなかなか書斎を使えなかったら、見知らぬ人物がその書斎を使い始めて
ついには、どかなくなったりとか。
ヘンなお話ばかりだ・・・と思いながら読みました。

眉村さんはあとがきで「病気の妻に読んでもらうために、
毎日ひとつ短い話を書く、ということに対して、人は千差万別の考え方をするだろう」
と書いておられました。本当にその通りと思います。
で、私の感想はというと、
奥さまが短編を読むことを了承されたのは、
眉村さんへの最後の励ましだったのではないか、ということです。
眉村さんは書くことで、介護以外の時間が持てるので
ストレス解消になります。さらに書くことは本職ですから
介護漬けになって腕が鈍るようなことにもならないです。
眉村さんが書くことで、良いことがたくさんあるのですから
おそらく奥さまは、自分が小説を読みたいかどうかではなく
自分のせいで眉村さんが筆を折ることがあってはならない
自分がいなくなっても書き続けてほしい、という気持ちを込めて
毎日小説を読んでくれていたのでは・・・と思いました。

小説以外にも、ご夫婦の馴れ初めや趣味の囲碁や俳句の話など
ご夫婦で長い時間を一緒に歩んでこられた思い出話もたくさん書かれています。
私はむしろ、こちらの方が興味深かったというか
長い間一緒に仲良く過ごしてこられた眉村夫妻のどのエピソードも
ステキ・・・と思いながら読みました。



妻に捧げた1778話 (新潮新書)

妻に捧げた1778話 (新潮新書)

  • 作者: 眉村 卓
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2004/05/16
  • メディア: 新書



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