日本4.0 国家戦略の新しいリアル [活字中毒のトモ]
当代きっての戦略家、エドワード・ルトワックさんの著書。
訳者が日本の戦略家、奥山 真司さんというのでは、もう読まざるを得ません。
ルトワックさんは、日本がとった戦略的システムを
日本 1.0 から 4.0 まで、大きく 4 つに分けました。
日本 1.0: 徳川 家康が選択した江戸システム。外交によって適切な同盟相手を選び、
敵対的な他者を減らし、消滅させる戦略(幕藩体制の構築)
日本 2.0: 明治システム。包括的な近代化を達成するために
日本 1.0 とは全く違った新しいシステムを導入し、それに成功した。
日本 3.0: 戦後システム。帝国陸海軍の再建を禁じられた弱みを
経済を軸とする国づくりに転進させることで、強みに変えた。
日本 4.0: 「同盟」を有効に使いつつ、目の前の危機にすばやく
実践的に対応しうる自前のシステム。
日本は今、このシステムを作る必要性に迫られているとのことです。
なぜなら、北朝鮮の脅威や米中対立を軸とした地政学紛争、
そして少子社会に勝つには、このシステムが必要だからだそうです。
また、冷戦後に戦争の文化が大きく変わり、
リスクをできるだけ回避しようとするのが主流になったので、
逆に戦争が終わらなくなった、という主張は大変興味深かったです。
確かに今、自分の子供を戦士として戦争に送りたい人なんて、いないですよね。
いや昔もいなかったと思いますが、昔以上に、
子供に戦争なんてしてほしくないと願う人は増えたと思いますし
子どもの数も少なくなったので、単純に大切に扱われるというか
目が行き届いて大事に育てられる子が増えました。
そうなると、軍だって人がたくさん犠牲になる戦略は立てにくくなり
勝利は得たくても、リスクは払いたくない、
指導者の責任ができるだけ軽くなる戦略が採用されます。
ですがその戦略は、実際には莫大なコストがかかり、犠牲が増える可能性すらある。
犠牲が見えないので、だらだらと無駄な戦いだけが続くことになりやすいとのことです。
現代の戦争の形に、少子化が絡んでくるとは思っていませんでした。
でも言われてみれば、本当にその通りで、こういうことを的確に指摘するのが
ルトワックさんの一流たる所以です。
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