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婿どの相逢席 [活字中毒のトモ]


婿どの相逢席 (幻冬舎単行本)

婿どの相逢席 (幻冬舎単行本)

  • 作者: 西條奈加
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2021/06/29
  • メディア: Kindle版


沖縄タイムスの書評を読んで、Amazon で試し読みしたところ、
面白かったので続きをすぐに読みたくなり、Kindle 版を購入しました。
もともと新聞の連載小説だったようです。

小さな楊枝屋の四男坊・鈴之助は、大店の仕出屋「逢見屋」の若女将である
お千瀬と相思相愛となり、逢見屋に婿入りしました。
逆玉だと喜んでいられたのもほんの 1 日、祝言の翌朝には
とんでもない事実が発覚します。
なんと、逢見屋は数代前から女が家を継ぎ、女将として店を差配しているので
男は何もしなくていい、ただ健康な女の子を授けてくれさえすれば
遊んでいていいから、店のことに口出しをするな、というのです。
さらに面と向かって、鈴之助を婿に迎えたのは、これといった取柄や才能もなく
平凡な男だからこそ、逢見屋の婿としてふさわしいと思ったからだ、と
大女将から面と向かって思い切りディスられたのでした。

こんなこと言われたら、卑屈になってしまいそうですが
そこは四男坊だったからか、鈴之助はおおらかで怒ることのない性格で
平凡な人柄だからこそ、鈴之助に悩みを打ち明ける人は多く
道に迷った人は、鈴之助を呼び止めて道を尋ねるのでした。
これはかなりの才能ですよね。妻となったお千瀬は、この才能を高く買っていました。
そして鈴之助に言ったのです。
「人の気持ちを和らげて、その懐にするりと入っていくその才を使って
私と一緒に古くからの慣習と戦ってほしい」と。

そうは言われても、お千瀬はこのことを、結婚するまで黙っていたわけなので
私が当人だったら「詐欺だ!!」と叫ぶと思います。
そうせずに、少しずつ逢見屋での居場所を探していく鈴之助は
なんとも人間のできた人です。
そして、お千瀬が望んだとおり、鈴之助は少しずつ周りの人の悩みを聞いて
さりげない方法で解決していき、人の心をつかんでいくのです。

また仕出屋さんが舞台だけに、おいしそうな料理が数々出てきます。
読んでいる途中で和食が食べたくなります。
そして食べるよりも前に、続きがとても気になるので
時間を忘れて読みふけりました。こんな小説、久しぶりです。
続編、出ないかしら。期待しています。



婿どの相逢席 (幻冬舎単行本)

婿どの相逢席 (幻冬舎単行本)

  • 作者: 西條奈加
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2021/06/29
  • メディア: Kindle版



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