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推し、燃ゆ [活字中毒のトモ]


推し、燃ゆ

推し、燃ゆ

  • 作者: 宇佐見りん
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2020/09/10
  • メディア: Kindle版


娘が「もう読み終わったから」と言って、くれました。
体よく断捨離に使われた感。

主人公あかりは高校 2 年生。アイドルグループ「まざま座」に所属する
上野 真幸の大ファンで、彼を「推し」と称してブログを綴り
彼のグッズを大量に買い、コンサートへ行くために、
得意でもない接客業のバイトをしています。
そんなある日、推しが炎上しました。ファンを殴ったそうです。

最終的には推しはこれが原因で芸能界を引退してしまいます。
あかりいわく「推しのいない人生は余生」だそうです。

私にとって、そのあたりは割とどうでもいいことでした。
何が気になったかって、あかりのできそこないっぷりです。
彼女は、推しを応援する以外のことは何もできません。
勉強もダメ、スポーツもダメ・・・というよりその次元を超えて
生きていくのが大変そうな人です。
バイトもまともにできない、部屋の片付けもダメ。
実社会で生きていたら「発達障害」と判定されそうな人です。
普通にできのいい姉は「あかりは何もできないのに許されてずるい」と怒り
父母は「高校を中退したんだから、働いて自活するように」と脅す。
あかりが普通の人たちと一緒に暮らす様子がとても大変そうです。

だけど、推しのコンサートには行けるのに、高校は中退するとか
片づけはできないのに、推しに関するデータだけは丁寧に拾って管理できるとかは
常人には理解できないと思います。一緒にいるとイライラするのも分かります。
イライラする理由が、あかりができないことではなく
頑張ってできている自分に何も良いことがないから、というのもすごく分かります。
だけどマイケル・サンデル教授の「実力も運のうち 能力主義は正義か?
には、「能力や公益について道徳的に視野の狭い考え方をしたせいで、
民主主義社会はいくつかの点で弱体化してきた」と書いてあったので
こういう考え方はもうじき廃れていくと思います。
みんなが納得して幸せに暮らせるようになるんじゃないかな。
片づけができなくたって、いいじゃないか。なあ。

はやく「実力も運のうち 能力主義は正義か?」を読んでしまおうと思います。
推し、燃ゆ」を読めば読むほど、結論が気になって仕方がなくなってきました。



推し、燃ゆ

推し、燃ゆ

  • 作者: 宇佐見りん
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2020/09/10
  • メディア: Kindle版




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