静止力 地元の名士になりなさい [活字中毒のトモ]
静止力 地元の名士になりなさい (しょぼい自己啓発シリーズ)
- 作者: えらいてんちょう(矢内東紀)
- 出版社/メーカー: ベストセラーズ
- 発売日: 2019/07/01
- メディア: 単行本
えらいてんちょうさん(略してえらてんさん)が、
堀江 貴文さんの書いた「多動力」を引き合いに出して
「堀江さんみたいなことを、全員がやったら
社会は回らなくなってしまう。そもそも、弱者は移動なんてできない。
であるなら、地元で踏ん張って、名士になって
社会を持続可能にするのに一役買いましょう」
といっている本です。
堀江さんは多動性を重視し、いくつものことを合理的に並行して
こなすことを提唱していますが
えらてんさんは、この意見に反対だそうです。
「多動力」を身につけるよりは、むしろ「静止力」を身につけるべきだと。
多動なんてできる期間は、人生の中でそこまで多くないし
多動力を主体とした人ばかりになると、社会が機能しない、特に地方の荒廃が進む
多動力を実践して挫折したら、居場所がなくなってしまう
多動する人は、重要な仕事を任せてもらえない
だから、きちんと静止して、地元で役に立つ人になる方が絶対にいいと。
その究極が A ランクの地元の名士になることだと。
「A ランクの」と書きましたが、えらてんさんは本書で
名士のランクを「見習い」と「ランク C/B/A/S」の 5 つに分けています。
「ランク S」が最高です。
ご近所さんとあいさつを交わす程度の「見習い」からはじめて
最終的には墓守まで昇りつめると「ランク S」の名士だそうです。
別に「地元」というのは、生まれた土地でなくてもいいそうです。
今住み着いている場所でも全然大丈夫。
そもそもコミュニティが「よそ者を排除しよう」とするのは
彼らが共同体として弱いからなので、
彼らがどのような理由でよそ者を外的と認定し、
どのようなルールで共同体を守っているのかをちゃんと理解したうえで
交流を重ねていけば、いつしかその共同体に仲間入りできる、とのことです。
足かけ 17 年もよそ者をやっている私としましては
この意見はとても面白かったのですが、逆に 17 年もよそ者なので
よっぽど私のコミュニケーションスキルがないんでしょうね。もうあきらめよう。
巻末に「しょぼい喫茶店」の店長、池田 達也さんとの対談が掲載されています。
これも面白い読み物でした。
「しょぼい喫茶店」って、書籍化されているそうですが
そのうち映画化もされませんかね?
展開がとてもドラマティックなので、映画向けだと思います。
静止力 地元の名士になりなさい (しょぼい自己啓発シリーズ)
- 作者: えらいてんちょう(矢内東紀)
- 出版社/メーカー: ベストセラーズ
- 発売日: 2019/07/01
- メディア: 単行本