SSブログ

簿記がわかってしまう魔法の書 [中小企業診断士]


簿記がわかってしまう魔法の書

簿記がわかってしまう魔法の書

  • 作者: 小沢 浩
  • 出版社/メーカー: 日本実業出版社
  • 発売日: 2019/03/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)


宅建に合格した後、中小企業診断士の勉強を始めました。
この資格の勉強は、どうも今まで身につけてきた知識を
さらに分かりにくい言葉で説明されているようで、
講義を聞くたびに、分かったような、分からないような気分になります。
どうして簡単なことを、こんなに難しく説明する必要があるのか
ちょっと理解できないのですが、大丈夫か・・・?

中でも理解できない科目が、財務・会計でして
今まであまり興味がなくて、何度も上滑りさせてきた分野なので
いくら勉強しても、身につく気配が全くありません。
もっと分かりやすく教えてくれる本はないか・・・と探したときに
見つかったのがこの本です。

昔、あるところに、ルカ・パチョーリという働き者の男の子がいました。
一生懸命働いているのに、なぜかずっと貧乏のままでした。
ある日、魔法使いのおばあさんがやってきて
貧乏から抜け出す魔法を教えてくれると言います。
ただし、それには条件がありました。
おばあさんから魔法の豆を 3 つもらい、上手に増やして
増えた豆の半分をおばあさんに渡すことです。

ルカは、収穫された豆の数だけしか見ていなかったために
いつまでたっても貧乏だったのでした。
ちゃんと簿記を勉強すると、モノに変えた豆も、そのまま資産として
カウントできることに気づいていなかったのです。
何を隠そう、私もルカと全く同じことを考えていました。
簿記ってもしかして、簿記そのものが粉飾決済みたいなものなんでしょうか。
お金をモノに変えたのに、資産扱いで OK とか
意味が分かりません。

ただし一応、この本を読んだら、モノに変えた豆も、そのまま資産として
カウントして良いということが理解できるようになりました。
おばあさんに手渡す豆は、簿記を知らないときと、知っているときとでは
4 倍も量が違いました。
実生活でも同じように、知らないまま損している何かがありそうです。
いや・・・きっとあるはず。

非常に読みやすい本だったので、手元に置いておいて
何度も読み返してみようと思います。
逆に言うと、1 度読んだだけでは、すべてを完璧に理解できるようにはなりません。



簿記がわかってしまう魔法の書

簿記がわかってしまう魔法の書

  • 作者: 小沢 浩
  • 出版社/メーカー: 日本実業出版社
  • 発売日: 2019/03/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



コメント(0) 
共通テーマ:資格・学び

高知能者のコミュニケーショントラブル2:人間は自閉的知能を持ったサルである [活字中毒のトモ]




高知能者のコミュニケーショントラブル: IQが20違うと会話が通じない」の続編です。
こちらも Kindle Unlimited でダウンロードして読みました。

著者の安間さんは今回
「人類って、自閉的知能が高すぎて、群れから追い出されたか
自分から出て行ったチンパンジーなんじゃないの?」
という仮説を立てました。
そして世界はどんどん、自閉症の人たちが生きやすい方向でに進んでおり
世界の中でも日本という国は、なかなかの自閉文化大国であると解説されています。

今回も面白く読ませていただきました。
私は検査を受けていないので、自分がどのカテゴリに属するのか知らないし
今となっては知りたくもないのですが
世の中がどんどん自閉症に優しくなっていると聞いて、ほっとしました。

個人的には、インターネットの発達は
今まで自宅に引きこもっていた世界中のヲタを
市場に引っ張り出すための手段だったと思っています。
そのお陰で、優良な顧客が増えたのは間違いない。
つまりヲタが活躍して、頑張ったから、今の社会ができたわけではなくて
どちらかというと、ヲタを食い物にしようとする人が頑張って
ヲタを市場に引きずり出したと思っています。
だけどそれと並行して、実力さえあれば、ゲートキーパーを介さないで
どんどん世の中に受け入れてもらえるようになりました。
ヲタを食い物にしようとした人たちは、
こういう結末を想定していなかったんじゃないですかね。

日本にしてみても、昔は本当に生きづらかった。
人と同じことをしなくてはいけないし、忖度しなくてはいけないし
私にとっては全く訳が分からない社会でした。
「え、それ変じゃない?」と言えるようになったのは
ほんのここ 10 年くらいの話だと思います。
それだって「空気読め」とか言われますし。
でも確かに、ヲタには優しいというか、一つの技術を極める職人が
大事にされる文化だというのは、その通りと思います。

あと「自閉症の人から見たら、定型の人こそ『定型発達症候群』という病気だよね」
という第 6 章第 1 節のくだりは本当に、どうして私が思っていることを
こんなにはっきりと文章にしてくれたのかしらと不思議に思いました。
おんなじことを思っている人、いたんだ。
いるけど、それ言ってしまうと、社会で生きていけないので、
黙っているんですね。
実際、定型の人とそうではない人って、どちらの方が多いのか
ちょっと気になりました。尺度を何にするかにもよりますが。
明らかに「発達障害」と認定されている人以外に
私のように診断を受けずに、世の中でひっそり生きているものも
けっこういると思うので、
もしかしたら、非定型の方が与党だったりする可能性、あるかもしれません。





コメント(0) 
共通テーマ:

記憶する体 [活字中毒のトモ]


記憶する体

記憶する体

  • 作者: 伊藤 亜紗
  • 出版社/メーカー: 春秋社
  • 発売日: 2019/09/18
  • メディア: 単行本


沖縄タイムスの書評コーナーの記事を読んで、面白そうだと思って購入しました。

著者は東京工業大学リベラルアーツ研究教育院准教授の伊藤 亜紗先生。
体の「合理的に説明がつかない部分」について研究されておられるようです。
本書では、体に刻み込まれた出来事が「記憶」として
その体に影響を及ぼすという事実をもとに
個々のケースを丹念に調査することで、記憶が可能にしている
「その体のその体らしさ」に迫ろうとする内容となっています。

調査に協力してくれた人たちは、様々な理由により体が五体満足な状態ではありません。
全盲の人や、腕を失った人、若年性認知症の人などです。
彼らの話を読むと、皆さんそれぞれ個性的な方法で、自分の体と向き合っていらっしゃる。
目が見えないのに、人と話すときにメモを取る人
点字を読むと色があらわれる人、
事故で腕を失い、幻肢痛に悩まされる日々の中
「手負いの動物だと思ってただ生きよう。普通に生きようとして命を縮めるよりは
普通に生きるのを諦めて命を取ろう」と決意する人
記憶をなくしてしまっても「想像して楽しめばいいか」と思う人など
実に様々です。
ひとりひとり、個性的な方法で自分の体と向き合い
何かを諦めたり、何かを補ったり、さらには「そもそもこういうもの」と順応したりして
心と体を一体化させようとしています。

こういっては失礼かもしれませんが、人間って誰でもそういうものかもしれません。
とにかく、生きていくしかないのですから。

沖縄に居候中の私としては、若年性認知症の大城さんの章を
一番身近に感じながら読みました。彼の話は以前、新聞記事でも読んだことがあり
若年性認知症でもお仕事ができるのだと知って驚いた記憶があります。
何をするにも一生懸命・・・それでは確かに疲れてしまいますね。
お昼寝が大事だというのは納得です。
私も最近は、少しお昼寝しないと午後に眠たくして仕方がないです。
これって仕事が大変ってことなんですかね。
以前は昼寝をしなくても大丈夫だったので、もしかすると・・・?

280 ページもある分厚い本ですが、非常に読みやすかったです。
「十分にありえる」とか「違和感を感じる」という言い回しが気になる以外は、
大変興味深い本でした。



記憶する体

記憶する体

  • 作者: 伊藤 亜紗
  • 出版社/メーカー: 春秋社
  • 発売日: 2019/09/18
  • メディア: 単行本



コメント(0) 
共通テーマ:

わかったつもり~読解力がつかない本当の原因~ [活字中毒のトモ]


わかったつもり~読解力がつかない本当の原因~ (光文社新書)

わかったつもり~読解力がつかない本当の原因~ (光文社新書)

  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2005/09/20
  • メディア: Kindle版


宅建の過去問を解いているときに、問題文を読んで「こういうことだろう」と
自分なりに解釈しても、実は違った、ということが結構あったので
もしかして読解力が足りないんだろうかと思い、
本書を Kindle Unlimited でダウンロードしました。
読み終わる前に、宅建終わっちゃいましたけど・・・合格できたからまあいいか。

読んでみたところ、大変論理的で読みやすく、面白い本でした。
著者の西林 克彦先生は、東工大理工学部を卒業されていらっしゃるので
思い切り理系の方ですね。だから文章が論理的なのですね。
構成も分かりやすかったです。
西林先生は、1976 年から 2010 年までは宮城教育大学、
2010 年から 2017 年までは東北福祉大学で教鞭を取っておられたようです。
本書には講義内容や学生の感想がちょくちょく登場します。

西林先生によると、そもそも文章や文というものは、
その部分間に関連がついていなければ「わからない」ものだそうです。
関連付けされるとはじめて「わかった」という状態が生じるのですが
それでも完全にわかっているわけではなく、関連付けが強固になればなるほど
「よりわかった」という状態になります。
ただ「よりわかった」状態にするために、人は文中に記述されていなことを
勝手に仮定したり、知識で補ったりするため
記述されている内容とは全く不整合な解釈をして
「わかったつもり」になっていることが多く
さらにそれが読みを深めるための大きな障害になると書かれています。

まったくもってその通りで、反論の余地がありません。

第 5 章で、センター試験の現代文の問題を
「文章との整合性」に基づいて解いていくのですが
これがなかなか難しかったです。
3 問解きましたが、そもそも文章と自分が抱いた印象との整合性が
あるかないかの判断が難しく、1 問も正解できませんでした。
つまり私は文章を読んで「わかったつもり」にばかりなっているということです。
うーん。

活字を読むのは好きな方なのですが、ただ読んでいるだけで
実際には全然理解できていないということですよね。
文章を丹念に読んでいないからダメなのでしょうか。
それとも拡大解釈が過ぎるのでしょうか。どっちもか。

となると、文章を完全に「わかる」ことは不可能なので
仕事のメールなどは都度確認が必要というか、
「あなたのメールを読んで、こう理解したけど合っていますか?」と聞いてみないと
思わぬ勘違いをしている可能性が高いです。
今後は文章の整合性を意識しながら読んでみるようにします。
でも読んでも「何が言いたいのかまったく分からない」メールも
結構多いと思いますけど。それも自分の解釈の力が足りないということで。


わかったつもり 読解力がつかない本当の原因 (光文社新書)

わかったつもり 読解力がつかない本当の原因 (光文社新書)

  • 作者: 西林 克彦
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2005/09/20
  • メディア: 新書



コメント(0) 
共通テーマ:

イタリア・マンマの陽気な子育て [活字中毒のトモ]


イタリア・マンマの陽気な子育て

イタリア・マンマの陽気な子育て

  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2000/12/14
  • メディア: Kindle版


ロザンナさんの「泣かない」が良かったので
Kindle Unlimited でロザンナさんの別の本を探したところ、
見つかったのがこの本です。
ところが、読んでみたところ、本書はもう 20 年も前の本で
内容的に、ちょっと古いと思いましたし
ロザンナさんの独断と偏見に満ちた子育て論なので
読み手によっては「大きなお世話!」と
とらえかねられないことがたくさん書いてあります。
例えば「レトルトの離乳食はあげてもいいと思うけれど
温めるのが基本」とか。
当たり前のことだから、そんなこと言われなくても分かると思うんですよね。
これ、本だからいいですけど、実の母とか近所のおばちゃんとかに
面と向かって言われたら、かなりうっとおしいと思います。
みんなこんな風にして、おせっかいなおばちゃんになってしまうんですね。
そういえばロザンナさんは「今でももう 1 度出産したいと思う」と
書いていらしたので、おせっかいなおばちゃんって、そういうものなのかも。
自分は差し当たって出産のチャンスがないから、よその子の子育てに口を出して
気持ちを紛らわせようとしている気がします。
私はそうならないように、気を付けないと。
私は意外と子どもが好きで、経済的に許されるなら
4、5 人産んで、毎日観察日記を書きながら過ごしたいと思っていました。
どこでどう間違ったのか、もう出産はできないと思いますけれど。
こんな状態で孫でも出来たら、うるさいばあさんになりそうです。
それは避けたいので、もっと自分で没頭できるような趣味ができるといいなと思います。

その他は「泣かない」に書かれていた内容と同じような内容が多かったです。
たぶんロザンナさんは、定期的に本を書くことで、
思い出が色褪せないように頑張っていらっしゃるのでは?

あとは掲載されていたポテトのニョッキのレシピが美味しそうだったので
そこはコピーを取って保存しておこうと思います。



イタリア・マンマの陽気な子育て

イタリア・マンマの陽気な子育て

  • 出版社/メーカー: PHP研究所
  • 発売日: 2000/12/14
  • メディア: Kindle版



コメント(0) 
共通テーマ:

悩みどころと逃げどころ [活字中毒のトモ]


悩みどころと逃げどころ (小学館新書 ち 3-1)

悩みどころと逃げどころ (小学館新書 ち 3-1)

  • 作者: ちきりん
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2016/06/01
  • メディア: 新書


世界一のプロゲーマー梅原 大吾さんと、社会派ブロガーちきりんさんの対談本です。
学校では寝てばかりだった梅原さんと、
テストで良い点を取っていい学校へ行き、いい会社に入社するという
エリートコースを歩んだちきりんさん。
こんな正反対の経験を持つ 2 人が、学校教育を軸に
「いい人生」について語った本です。

ちきりんさんは、いい学校へ行ったので、基本的に
「学歴なんかなくても実力があればいいでしょ」と思っていて
逆に梅原さんは学校では寝てばかりで大学へ進学しなかったからこそ
実力だけではどうにもならないことがある
つまり学歴があればしなくても済んだ苦労がたくさんあることを実感しています。

本書は 9 つの章で構成されていて、学歴以外にも、
競争や職業、挫折や収入について語られているのですが
2 人の意見がことごとく真逆で面白いです。
何が面白いって、ただ真逆なだけではなく、
2 人ともものすごくベースが完成されているというか
「自分はここ」という位置で色々な体験や考えを自分なりに理解して
人生の糧にしているからこそ出てくる意見がちりばめられていることです。
自分が今までしてきたことを、こんなに有効活用できる人って
そうはいないと思います。
こういう人たちだからこそ、どんな人生を歩んでいても
「私の人生、いい人生だわー」って言えるのかもしれません。

学校は「勝てばいいんでしょ」的な方法を教えてくれるだけで
「こうやって遊ぶと、人生楽しいよー」ということは教えてくれない
という意見は、本当にその通りですが、よく考えると
なんだか学校で教わる「楽しい人生」って、楽しくない気がします。
学校なあ・・・私もあんまりいい思い出がないですし
2 度と行きたいと思いませんが、
あれって社会でたくさんの人たちと一緒に生きていくお作法を学ぶついでに、
読み書きも習う場所ですよね。
そこで教えてもらえるのって、やっぱり「楽しい人生の送り方」ではなく
集団生活を送るために知っておかなくてはいけないこと、でしかないのかと。
で今までは、集団生活の実地訓練しかしてもらえませんでしたが
できれば実地訓練をしても無駄というか、集団生活への適応ができなさそうな人のために
回避策とか補強案とかを提示してもらえるとうれしいです。
まあこれは私の個人的な希望なので、集団民度の底上げがねらいの学校的には
全然考慮する余地のないことかもしれません。
十分実地訓練させてやったんだから、もういいだろ、って感じかも。
やっぱり自分の人生なので、自分で考えて、
いい人生というか楽しい人生にしなくちゃダメですよね。頑張ろう・・・。


悩みどころと逃げどころ(小学館新書)

悩みどころと逃げどころ(小学館新書)

  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2016/06/06
  • メディア: Kindle版



コメント(0) 
共通テーマ:

泣かない~ロザンナ 40年目の履歴書 [活字中毒のトモ]


泣かない~ロザンナ 40年目の履歴書

泣かない~ロザンナ 40年目の履歴書

  • 作者: ロザンナ
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2008/07/01
  • メディア: 単行本


コザの図書館でこの本を立ち読みして、じっくり読みたいと思ったので
Amazon で注文しました。

イタリア出身のタレント、ロザンナさんの自伝です。
ご両親の馴れ初めや、ご自身がご主人のヒデさんと出会ったときのことなど
たくさん書かれているのですが、基本的にはヒデさんへの愛があふれた本です。
愛はあふれているのですが、いかんせん、愛の対象のヒデさんが
あまりにもダメ男すぎる。自分が入院してしまってから
愛人と出かけたオーストラリア旅行の飛行機代の請求が奥さんに届くとか
本当にバカ。それでもロザンナさんは、すべて受け止めてヒデさんを愛し続けている。
彼が死んでもなお。というか、愛していなければ、ロザンナさんのすべてが
台無しになりそうな感じです。彼を失ってもなお、ロザンナさんは
何かあるたびに、「ヒデだったらどうしただろう、何て言っただろう」
とヒデさんにすがって生きている。17 歳で来日して以来、一緒に仕事をしてきた
8 歳年上の男性の存在は、ロザンナさんにとっては世界の中心も同然なのです。
彼が亡くなってからも、それは変わらない。

ヒデさんは私の夫とは全く違う人ですが、なんとなく似ている感じがしました。
楽しいことが大好きで、困った人を放っておけないところとか特に。
そのヒデさんが、亡くなる直前に、声をかけるロザンナさんに向かって
指相撲を挑もうとするところあたり、ああなんか分かるというか
最後まで彼なりに、ロザンナさんを愛して、残して逝ってしまうのを
申し訳なく思っていたことが良く分かりました。
私の夫も、こんな感じかもしれません。死んでいないけどね。
入院してから、身に覚えのない旅行の代金を請求されそうなところも、そっくり。

そして、いいのか悪いのかは置いておいて
ロザンナさんが子供たちをとても頼りにしているのが印象的でした。
ヒデさんが死んだときに、ロザンナさんより先に看護師に
お世話になったお礼を言う次男の来門さん、ヒデさんが亡くなる直前に
手を握られて将来を託された長男の史文さん、何カ月も泣き続けるロザンナさんを
「いい加減にしてよ」と諭した長女の万梨音さん。
みんな子どもなのに、ロザンナさんを大事に思って、彼女に寄り添ってくれています。
なんて頼りになる子供たちなんでしょう。きっと今もそうなんでしょうね。
でもたぶんそれは、ご両親がヒデさんとロザンナさんだったから
そういうふうに成長せざるを得なかったのではないでしょうか。
子どもは親を選べないので、どんな親のところに生まれてきても
きちんとその親に合うような子どもになるのではと、なんとなく思います。
ロザンナさんは弱くて、それをあまり隠そうとしない
子どもにも正直に伝えるので、子どもは受け止めざるを得ないと言いますか
親子ってこんな風に、色々なことを分かち合って、
パートナーとして生きていくんだな、ということを認識した 1 冊でした。



泣かない~ロザンナ 40年目の履歴書

泣かない~ロザンナ 40年目の履歴書

  • 作者: ロザンナ
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2008/07/01
  • メディア: 単行本



コメント(0) 
共通テーマ:

南の島の学級日誌―高校生と先生のマジメでユカイな対話集 [活字中毒のトモ]


南の島の学級日誌―高校生と先生のマジメでユカイな対話集

南の島の学級日誌―高校生と先生のマジメでユカイな対話集

  • 作者: 砂川亨
  • 出版社/メーカー: ボーダーインク
  • 発売日: 2015/12/01
  • メディア: 単行本


今から 4 年以上前に、本書が新聞で紹介されていて
面白そうだと思って、わざわざジュンク堂に探しに行って購入したはずなのです
宅建のテキストと同じ箱に入れたまま、本書の存在を
すっかり忘れていました。
そしてようやく宅建に合格したので、テキストを捨て、箱も処分しようと思い
箱の中に入っていた色々なものを、いるものといらないものに分けたら
本書が出てきました。あー・・・またやっちゃった。
買っただけで満足して、とりあえず手近な箱に入れて
すっかり忘れてしまっていたのです。こんなに面白い本なのに。

本書は、昭和薬科大学付属高等学校で国語を教えている砂川 亨先生が
担任を持ったクラスである第 39 期の 3 年 E 組の生徒たちとやりとりした
学級日誌を書籍化したものです。
さすが国語の先生、学級日誌も教育に最大限利用しようとされるんですね。
私の担任の先生が国語を教えておられたことって、
中高の 6 年間でたった 1 回しかなく、
彼女は学級日誌を最低でも 300 字以上書けとは言わなかったと思うので
こんなルーティンワークを教育に最大限利用される砂川先生すごいなと思いました。

このクラスの生徒に学級日誌を書かせるにあたり、
砂川先生がつくったルールはたった 2 つだけ。

1) 日誌のコメント欄を 8 割以上埋めること。
2) 公で読まれるのにふさわしくない文章(誹謗中傷/下品/不快な表現)は NG。

そして先生は、「学級日誌を書くのをさぼったら翌日も日直な!」
と生徒に言い渡したのでした。
ですが生徒にだけ苦行を強いるわけではなく、先生はこうも言いました。
「私は毎日コメント返す。しかも君たち以上の量を書く」と。

学生時代、何度もレポートを出しましたが、
私が書いた量以上のコメント書いてくれる先生なんて 1 人もいませんでした。
というか、まともなコメントを書いてくれる先生は本当に少なくて
数行でもきちんとコメントを書いてくださる先生がいると
とてもうれしかったものです。
それなのに、書いた以上のコメントが返ってくる学級日誌って
いったい何なの?もうこれは学級日誌ではなく、生徒と先生による交換日記ですね。
読むとどの日の日誌も面白くて、お互いの熱い思いが伝わってきます。
また薬科大付属高校の生徒たちの、頭の回転の速いことよ。
一番面白いと思ったのは花梨さんが書いた「モテ期三回説の真実」なのですが
「人生のモテ期は 3 回ある」という都市伝説を相手に
重解だったら 1 回しかないし、
虚数解だったら 0 回だという話を披露してくれていました。
ああ高校生ってこんな感じだったなというか、
学習したことをきちんと応用できててすごいし、そもそも文章が面白いです。
こういう高校生、本当に大好きです。こんな学友に囲まれて学生生活を送れるなら
高い学費を払うメリットもあるでしょうね。
そして砂川先生が返すコメントも、毎回とてもステキで
生徒たちを暖かく見守ってくださる様子が伝わってきました。
本書のあとがきで、このクラスの生徒たちと学級日誌をやり取りしていた当時は
奥様が入院されて、大変な生活を送っていらっしゃったことが明かされています。
奥様の看病やお嬢さん 2 人の世話をしながら、
学級日誌に膨大な量のコメント書くのって、本当に大変だったと思います。
おそらくこんなのは、持ち帰りの仕事でしょうし。
先生って、本当に大変な仕事ですね。

気軽に読めて、最後には心がほっこり、温かな気持ちになれる良い本です。



南の島の学級日誌―高校生と先生のマジメでユカイな対話集

南の島の学級日誌―高校生と先生のマジメでユカイな対話集

  • 作者: 砂川亨
  • 出版社/メーカー: ボーダーインク
  • 発売日: 2015/12/01
  • メディア: 単行本



コメント(2) 
共通テーマ:

「無理」の構造 ―この世の理不尽さを可視化する [活字中毒のトモ]


「無理」の構造 ―この世の理不尽さを可視化する

「無理」の構造 ―この世の理不尽さを可視化する

  • 出版社/メーカー: dZERO
  • 発売日: 2019/03/28
  • メディア: Kindle版


本年もどうぞよろしくお願いいたします。

2020 年最初の 1 冊はこちら。
Kindle Unlimited でダウンロードして読みました。

著者はビジネスコンサルタントにして著述家の細谷 功さん。
世の中にあふれる「理不尽なこと」のメカニズムを可視化するための本です。
「世の中は理不尽だ」と感じる出来事の多くは
出来事そのものが理不尽なのではない、お前の頭の中が理不尽なんだよ
というのが本書の主旨です。

そう、理不尽なのは、同じものを見ても、人によって見え方が違うから。

世の中を変える人と動かしている人
「見えている」人と「見えていない」人
発信している人と受信している人
「プレイヤー」と「観客」
本当に自分で目利きができる少数の人と、それに同調するだけの多数の人

通常、善の反対語は悪、悲観の反対語は楽観であると言われています。
でもそれらは本当に対と言えるのでしょうか?
細谷さんの意見は「否」です。細谷さんいわく
これらの対を紙の右と左に書いて、ぱたんと折りたためば
これらは紙一重で重なり、それまで中立点だった「どちらでもない」部分が対極にくる
つまり善の反対語は悪ではなく「どちらでもない」なのだと。

また時間というのは不可逆性があるので、変化は対称ではないそうです。
お湯はほおっておけば冷めることはあっても、自然に熱くなることはない
それと同じような不可逆性が、人間の社会や気持ちにも存在するそうです。
また流れに逆らうには多大なエネルギーがいるので、
自然に変化の方向は一方通行なのだと。
社会が成熟すればするほど、没個性化や民主化、性悪説ベースの考え方が進み
それらを解決するには「別のものを新しく立ち上げる」しかないとのことです。

時間だけでなく、物質の量についても同じことが言え
ものを増やすのは簡単だが、減らすのは難しいのだそうです。
確かに、我が家はモノであふれています。
決して余計なものを買っているつもりはないのですけれど。
モノは増えるけれど、お金はなかなか増えないので
増えないものもあるんじゃ・・・と思ったのですが
お金とモノとは用途が別なので、そこは仕方がないのかもしれません。
お金をモノやサービスに変えているわけですから
お金を増やそうと思ったら、
モノやサービスに興味を持たないようにする必要があります。

さらには、自分と他人の関係性は、対象ではなく非対称である
ゆえに「公平」とか「対等」という関係性は幻想にすぎない
どんな分野にも「わかっている人」と「わかっていない人」が存在し
「わかっていない人」はさらに下記の 2 つに分けることができる
わかっていないことをわかっている人
わかっていないことがわかっていない人

わかっていない人、つまりものごとが見えていない人は
なにも見えないから根拠のない自信を持っているし、
「自分に見えている世界」が世界の中心であり、それが正しいという信念に揺るぎがない
だからわかっている人がいくら説明しても、労力の無駄で
この二者が議論をするとストレスばかりがたまる、つまり理不尽な気持ちしか残らない
「他人を変えよう」とか「気づかせよう」という労力はすべて「無理」な取り組みである。
というのが、本書の主旨だと思います。合ってますかね?

非常に興味深い本でした。
分かり合えない人たちとも、それなりに理解しあえるように
工夫して意思疎通を図ろうとするのは、労力の無駄であることが多いなんて。
ただ自分が「わかっていないことがわかっていない人」になるのは嫌なので
せめて、ものごとには常に自分が分かっていない何かがあるに違いないと思って
多方面から物事探りたいと思いました。

場面に応じてそれがプラスになるかマイナスになるかが決まってくるので
前提条件を無視して成功体験をそのまま自分に当てはめるのは危険だという意見も
参考になりました。この話、以前別の本でも読んだ気がします。
どの本だったかな・・・。


「無理」の構造 ―この世の理不尽さを可視化する

「無理」の構造 ―この世の理不尽さを可視化する

  • 作者: 細谷 功
  • 出版社/メーカー: dZERO
  • 発売日: 2016/02/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



コメント(2) 
共通テーマ: