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新型コロナウイルスを制圧する ウイルス学教授が説く、その「正体」 [活字中毒のトモ]


新型コロナウイルスを制圧する ウイルス学教授が説く、その「正体」

新型コロナウイルスを制圧する ウイルス学教授が説く、その「正体」

  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2020/07/31
  • メディア: 単行本


新型コロナウイルスについては、怪しげな記事を Web で見るばかりでしたが、
そろそろきちんと書籍になって情報が公開されているだろうということで
数冊購入してみました。これはその第 1 弾。

国際ウイルス学会会長を務めたこともある、ウイルス学の世界的な第一人者
河岡 義裕教授の著書です。
ノンフィクション作家の河合 香織さんが聞き手となって
見えないウイルスと対峙する恐ろしさを軽減するような、事実だけを
河岡教授が分かりやすく説明するような内容となっています。
3 章で構成されていて、第 1 章が「新型コロナウイルス研究最前線」
第 2 章が「ウイルスと共に生きる」、第 3 章が「ウイルスと私」
というタイトルになっています。

新型コロナウイルスが感染する仕組みや、遺伝子ワクチンで抗体ができる仕組みが
図で分かりやすく解説されています。超文系の私でも、かろうじて理解できました。
またデマでよく言われている「新型コロナウイルスはバイオテロ」説を
教授は一蹴しています。今存在しているウイルスは、すでに環境に最も適したものが
選ばれているわけであるから、それを人に感染するようなウイルスに改変するのは
ほぼ不可能なのだそうです。納得です。逆に弱毒化するのは割と簡単らしいです。

教授はウイルスを人工的に作る「リバース・ジェネティクス」という技術を用いて
生ワクチンを開発中です。またもうひとつ「組み換え DNA」と呼ばれる技術を使って
不活性化ワクチンの開発も進めていらっしゃいます。
ですがはっきりいつ完成するとは書いてありませんでした。そりゃそうですよね。
実用化までには、クリアしなければならない課題がたくさんあります。

第 2 章「ウイルスと共に生きる」もとても面白かったです。
人類の感染症への対処法は、実は昔から大きくは変わっておらず
スペイン風邪の時も、マスクをしている多くの人が写る写真が残っているそうです。
そしてウイルスは大流行を起こした後に、世界中の人に免疫ができると、
数年後には重い症状を引き起こさないコントロール可能なものになるそうです。
スペイン風邪の例だと、大流行した後 40 年間は世界各地で流行を繰り返し、
地上から消えたのが 1957 年だそうで。なんと 17 年もかかっています。
今回のコロナウイルスも、先は長そうです。
やはりこのウイルスとは、今後もしばらくつき合っていかねばならないようなので
正しい知識を身につけて、できるだけ健康を保って、
ウイルスと共存していきたいと思います。



新型コロナウイルスを制圧する ウイルス学教授が説く、その「正体」

新型コロナウイルスを制圧する ウイルス学教授が説く、その「正体」

  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2020/07/31
  • メディア: 単行本



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