ティラノ部長 [活字中毒のトモ]
沖縄タイムスの書評コーナーで紹介されていて、面白そうだったので読んでみました。
普通の単行本かと思ったのですが、実際に読んでみると 4 コマ漫画に近かったです。
主人公のティラノ部長は 54 歳。
バブル期に新卒で入社した白亜物産で 32 年間ずっと働き続けてきました。
若い頃は元気さえあればなんでも乗り越えられたはずでしたが
最近は部下との関係もうまく築けず、私生活では妻との離婚も経験しています。
時代についていけず、取り残された感を味わいながらも
部下には優しくしなくちゃとか、
朝の占いを気にしてくよくよしたりとかする様子を読んで
うー-ん・・・なかなか大変だなと思いました。
ですが、奥さんと離婚したいきさつを読むと、同情もできないというか
こういうおじさん、周りにいたらきっと面倒くさい
アメフト部出身の体育会系営業マンのなれのはてとか
扱うのはとても面倒で、半径 100m 以内には近づいてほしくありません。
本書でティラノ部長は誕生日を迎えて 55 歳になります。
55 歳・・・夫と同じ歳です。
確かにそのくらいの歳だったら、バブルの恩恵をちょっとくらいは受けたでしょうし
体育会系の部活をやっていたら、大卒男性は就職に困らなかったと聞いています。
だけど、スマホを上手に扱えないなんてことはないし
親の死に目より仕事を優先するような人ではないな・・・と考えたら
ティラノ部長って本当はもう少し歳が上なのかも。もっとおじさんのイメージです。
原作者の鈴木 おさむさんは 1972 年生まれ、
作画を担当したしたら 領さんは 1988 年生まれなので
ティラノ部長よりはちょっと(だいぶ?)年下の世代です。
なんでこんなお話を書きたいと思ったのか、そちらの方が気になりました。
おじさんの悲哀を書いて、ディスりたかったのか、なぐさめたかったのか
どちらでしょう?どっちでもないのか?
養老先生、病院へ行く [活字中毒のトモ]
養老先生の「ヒトの壁」で本書が紹介されていて、
面白そうだったので読んでみました。
「ヒトの壁」を読んだときにも思いましたが
私も病院嫌いで、よほどのことがなければ病院へ行かないので
養老先生の病院との距離の取り方に親近感を抱きました。
とはいえ、養老先生はやはり、東大卒の医師なのです。
私とは違って「ちょっと体調が悪いかな」と思ったら、教え子に検査を依頼できてしまう。
本書は養老先生と、先生が検査を依頼した中川医師がリレー形式で
養老先生が入院した当時の様子を振り返る内容となっています。
当時の病状については「ヒトの壁」にも詳しく書かれていたので
そこまで新たな驚きはありませんでしたが
養老先生が検査の結果検出されたピロリ菌を除菌しなかったり
ポリープを放置したりするのに、白内障の手術はするのを目の当たりにして
中川医師が不思議がっている様子が面白かったです。
「え、ピロリ菌は放っておくのに、白内障治すの?」みたいな感じで
養老先生の病院嫌いの芯の部分をつかみかねていらっしゃるのが
逆に「ああ、本当に養老先生の教え子なんだ」と思いました。
なんというか、不思議がっている様子からも、養老先生への敬愛があふれています。
こんな教え子がいたら、そりゃ迷わず彼に検査を依頼しますわ。
個人的には、どうして養老先生がピロリ菌を除菌しないのかも
白内障の手術は受けるのかも、分かる気がします。
結局、共存できているものは共存させて、無駄に排除したりしないけれど
便利になるものは受け入れよう、というスタンスなのだと思います。
それに家族とそこそこ楽しく暮らしているから、
医療を一切拒否するような、自殺まがいのこともしなくてもいいですし。
医師が 2 人で文章を書いているのに、めちゃくちゃ分かりやすい本でした。
心臓について詳しく書かれていたので、何度か読み返すといいと思いました。
紙の単行本なので、どうしようか迷いましたが、本棚に置いておくことにします。
74歳、ないのはお金だけ。あとは全部そろってる [活字中毒のトモ]
牧師のミツコさんの著書です。
なにかの記事でミツコさんのことを知り、お金のない老後もいけるかもしれない
と思っていたら、Kindle Unlimited で本書を薦められたので、読んでみました。
ミツコさんは 1946 年生まれです。牧師の家の 5 番目の子どもとして生まれ
自身も牧師を目指して神学校で勉強、そこで牧師の夫と出会い結婚しました。
その後、夫婦二人三脚で 46 年間教会を経営、
糖尿病で夫が亡くなるまで介護も担ったそうです。
現在は、独りで悠々と公営住宅での暮らしを楽しんでおられるようです。
ミツコさんの現在の主な収入源は、月 7 万円の年金。
プラス週 3 回、シルバー人材センターから派遣され家政婦をされているようです。
そうして得た収入から教会への献金もされるとのこと。
どうしてそんな生活が可能なんだろう?と不思議に思いますが
ミツコさんいわく
「親も牧師だったから貧乏だった。お金がないのには慣れている。
それに、必要があれば神様が与えてくださる」そうで。本当に?
私は、老後の最大の課題は家だと思っていて
安定して住居を確保できれば、あとは何とかなると目論んでいます。
ミツコさんのように、公営住宅にずっと住めるのであれば
有難い話です。そして月 7 万円でなんとか暮らせるようになれば
私の老後も大丈夫かもしれない。少し安心できました。
そしてミツコさんのすごいところは、いくつになっても忙しくして
人に囲まれて暮らすのを苦だと思っていないところです。
毎週水曜には朝 9 時半までに、約 10 人分のおかずを作って
礼拝後に家族と食卓を囲むとか、どう考えても重労働なので
私ならやりたいと思わないです。
ミツコさんは、そういうことを、文句も言わずやっておられる。
手間や労力を惜しまない方です。
きっとこれが健康に独りで生きていける秘訣ですね。