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脳みそカレー味 [活字中毒のトモ]


脳みそカレー味―岸田今日子・吉行和子とのインド旅日記

脳みそカレー味―岸田今日子・吉行和子とのインド旅日記

  • 作者: 山際 素男
  • 出版社/メーカー: 三一書房
  • 発売日: 1985/11
  • メディア: 単行本


吉行 和子さんのエッセイ「そしていま、一人になった」を読んだときに
作中に登場したのがこの本です。
俳優は、旅行に行きたいと思うと、それが仕事になったりするんだ
とびっくりしました。
どんな本なんだろう、読んでみたい、と軽く思ったのですが
いかんせんこの本は 1985 年に発行され、すでに絶版となっていました。
Amazon では 18,900 円という高値で取引されています。
そんな大金を払ってまで読む気はないな・・・と思ったら
なんと那覇市内の図書館に蔵書がありました。
古い本なので書庫に眠っていたのですが、貸し出しを希望したところ
あっさりと貸してもらえました。しかも無料。図書館すごいです。

この本の著者は山際 素男さん。ノンフィクション作家で、インド文化研究家
だったそうです。2009 年 3 月に、79 歳で亡くなられました。
山際さんは、知人から岸田 今日子さんを紹介され
岸田さんと、その友人である吉行 和子さん、岸田さんの娘であるまゆちゃん
のインド旅行の団長を務めることになりました。
山際さんのアシスタントの柚美さんを加えた 5 名様一行は
1984 年のクリスマスイブに日本を出発し、インドでお正月を迎え帰ってくるという
13 日間の旅に出ました。

1984 年というと、今から 35 年も前の話です。
当時はインドはまだまだ貧しくて、作中にたくさんの物乞いが登場していました。
そもそも、当時は海外旅行はそこまで気軽に行けるものではなかったようです。
予約した飛行機が飛ばなかった理由が、クルーがスケジュールを間違えて
全員帰ってしまったからとか、今ならありえない理由だと思いました。

そしてどんなステキな観光地を回ったんだろうかと思いながら読んだところ
期待はあっさり裏切られました。
岸田さん(当時 55 歳)と吉行さん(当時 49 歳)は、
俳優である前に、普通のおばちゃんだったのです。
旅行に行っても、とにかくマイペース。とりたてて遺跡や自然に興味が
あるわけでもなく、言葉が不自由な環境でひたすら勝手な想像をして
盛り上がっていました。もう本当に、普通のおばちゃんたちでした。
やっていることはあんまり面白くないのですが、彼女たちのわがままなセリフが
サブタイトルになると、かなり笑えます。
「乳しぼりだっていいもーん」とか、どんなタイトルやねん。
無料で読めてよかったです。これは買って読む本ではないです。

岸田さんと吉行さん、そして冨士 眞奈美さんの 3 人で
台湾、ハワイ、オーストラリアを旅した
ここはどこ―時に空飛ぶ三人組」という本も出ているようですが
2 人でこんなにうるさいのなら、3 人に増えたらもっと・・・
読むだけでエネルギーを吸い取られそうです。



脳みそカレー味―岸田今日子・吉行和子とのインド旅日記 (1985年)

脳みそカレー味―岸田今日子・吉行和子とのインド旅日記 (1985年)

  • 作者: 山際 素男
  • 出版社/メーカー: 三一書房
  • 発売日: 1985/11
  • メディア: -




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心に折り合いをつけて うまいことやる習慣 [活字中毒のトモ]


心に折り合いをつけて うまいことやる習慣

心に折り合いをつけて うまいことやる習慣

  • 作者: 中村 恒子
  • 出版社/メーカー: すばる舎
  • 発売日: 2018/06/20
  • メディア: 単行本


読みたいなと思って Amazon の Wish List に入れている間に
Kindle Unlimited に登場したので、喜んでダウンロードしました。
90 歳になっても現役の精神科医でいらっしゃる、中村 恒子先生のお話を
同じく精神科医であり、産業医でもいらっしゃる、奥田 弘美先生が
聞き書きされた本です。

恒子先生の人生は、まるで何かに導かれているようです。
戦中で、医師が軍医として次々と戦地に駆り出され
さらには若い男性も徴兵に駆り出されていた時代だったから
女医養成用の専門学校がたくさんできた頃
たまたま、開業医の叔父さんが
「お国のために医者になるなら、学費の面倒を見てやろう」
と言ってくれたから、恒子先生は進学できました。
その後も何かに導かれるように精神科医になり、仕事を続け
気が付けば 90 歳だそうです。
途中何度も、仕事を辞める機会はあって、
実際に仕事を辞めていた時期もあったそうですが
その度にどこからともなく、現場復帰の依頼がやってきて
恒子先生は現場へと戻っていかれました。
すごい人生ですよね。

そして長いこと精神科医を務めておられる恒子先生は
世の中の人たちが思い悩むたいがいのことに、絶妙な答えを持っていらっしゃって
それを惜しげもなく読者に披露されています。
「仕事なんて、根本的なことを言ったら、生活をするためにしているのだから
『お金のために働いている』でええやないの」
「会社なんて、他人が作ったお金儲けのための箱なんやから
その小さな箱に、自分の大切な命や家族の幸せをかけすぎたらあかん。
自分で『逃げる』って決めるんやったら、自信を持って逃げたらいいんです」
など、悩んでいる人たちが生きやすくなる台詞がたくさん出てきます。

ご自身の家庭生活は順風満帆な時ばかりではなかったそうですが
そういった経験も仕事に活かしておられるようで
転んでもただでは起きないというか、考え方ひとつで
とんでもない苦労も「良い経験」に変えることができるのだというのを
身体を張って教えてくださっています。
非常に勉強になります。
恒子先生が医者にならなかったら
とんでもない酒豪のご主人とはそもそも出会わなかったわけで
もし恒子先生が、女学校を卒業した後進学をあきらめていたら
こんな大変な人生ではなかったかもしれない。
だけどそんなこと考えても無駄であって、恒子先生は目の前のことを大事にして
食べて、寝て、命をきちんとつないで、色々なことを悟られました。
とてもステキな生き方で、私も見習おうと思いました。
そして「たいていのことは何とかなる」と言ってもらえて、気が楽になりました。
恒子先生、ありがとうございます。



心に折り合いをつけて うまいことやる習慣

心に折り合いをつけて うまいことやる習慣

  • 出版社/メーカー: すばる舎
  • 発売日: 2018/06/21
  • メディア: Kindle版



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