SSブログ

憲兵物語 [活字中毒のトモ]


憲兵物語―ある憲兵の見た昭和の戦争 (光人社NF文庫)

憲兵物語―ある憲兵の見た昭和の戦争 (光人社NF文庫)

  • 作者: 森本 賢吉
  • 出版社/メーカー: 光人社
  • 発売日: 2003/09
  • メディア: 文庫


娘がバドミントンの大会に出場していたり、
仕事がらみでやたらと忙しかったりして、休む間もありませんでしたが
ようやく落ち着いてきました。

この本をどこで知ったのか忘れてしまいましたが
例のごとく買ってから数年寝かされていました。
この本を書き上げたのは、朝日新聞の記者の方です。
当時別の題材をテーマに、広島県の役所で取材に当たっていた著者は
役所の職員から森本 賢吉なる老人を紹介されます。
取材に当たっているうちに打ち解けた森本老人は、
昔、自分が朝鮮や中国で憲兵として活躍していたときの話を始めます。
森本老人はその昔、とても頭が良く、また性格も豪快な
中国人からも日本人からも信頼される稀有な憲兵だったのでした。

歴史の教科書や新聞の特集でしか目にしたことのない、戦中の挑戦や満州の様子を
当時、実際にそこで仕事をしていた憲兵が語るのですから、
内容はとてもリアルといいますか
(実際経験したことのない私がリアルとか言っても意味がないんですが)
確かに、こういうことあっただろうな、と思わせることばかりが書いてありました。
占領地での、占領する人とされる人のぎくしゃくした関係とか
ちょっとしたことですぐに人が殺される殺伐とした様子とか
従軍慰安婦の実態とか
この本を読んで、初めて史実が判ったような気がします。
見ていないので、あくまでも「気がする」だけなんですけどね。
教科書より、よっぽど信用できそうなことが書いてあります。

実は、私の父は大連の生まれで、祖父母は人生の多くの時期をそこで過ごした人です。
父は乳飲み子のときに、内地に引き上げてきたので
当時の暮らしぶりについては、もちろん全く記憶がありません。
祖父母が生きていたら、もっと現実に何が起こっていたかを聞くことができたのに
聞きたいと思ったときには、亡くなっていました。惜しい話です。
ですが本書を読んでなんとなく、祖父母が話したとしたら、
本書に書かれていたのと同じことを言うのではないかな、と思いました。
でも生臭い話だから、孫には語らなかったんでしょうね。
私は祖父母から戦中の話を聞いた記憶が全くありません。

教科書から離れて史実を辿ってみたいという、奇特な学生さんがいらっしゃいましたら
この本をお奨めいたします。






タグ:憲兵物語
nice!(2)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:

nice! 2

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント

トラックバック 0