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日曜日の夕刊 [活字中毒のトモ]


日曜日の夕刊 (新潮文庫)

日曜日の夕刊 (新潮文庫)

  • 作者: 重松 清
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2002/06/28
  • メディア: 文庫


娘が解いている進研ゼミの合格可能性判定模試を見ると、
国語の問題で何度も、重松さんの作品が取り上げられていました。
私が見ただけでも、4 作品ありました。
ベネッセは、今年の高校入試では国語の問題に重松さんの作品が登場する可能性が高いと
予想しているんでしょうかね?
そのうち 1 つは「きみの友だち」でした。
のこりの 3 つは「サマーキャンプへようこそ」と「卒業ホームラン」、「さかあがりの神様」で
模試の出典情報を見ると、すべて本書「日曜日の夕刊」に収録されていると書いてありました。

試験問題だけを読むと、なんだか尻切れトンボのようですっきりしないのです。
正解を見ても、こんな抜書きの文章を読んで、本当に導き出せる答えなのか
良く分かりませんでした。きっと出題者の意図はこうなんだろう・・・のように
かなり先入観をもって問題を解かなくてはなりませんでした。
国語の試験なんて、そんなもの、と言ってしまえばそれまでなのですが
そこで終わっては面白くないので、「日曜日の夕刊」を丸ごと読んでみることにしました。

重松さんの本をたくさん読んでいらっしゃる Sanchai さん なら、
きっとこの本を読んでおられるに違いないと思って、ブログを検索してみると、
やはりありました。こちらの記事 を読んでみると、「卒業ホームラン」や「さかあがりの神様」の結末が
さらに気になって、迷わず本書を購入しました。

読み始めてみると、12 編も短編小説がありましたが、通勤時間を利用して
あっという間に読んでしまいました。
あとがきには、「あってもなくてもかまわない、だけどせっかくだから、あったほうがいいんじゃないか」
というような、本当は届くはずのない日曜日の夕刊を届ける気分で
お話を書いたと書かれていました。
これで思い出しましたが、沖縄タイムスは何年か前に、夕刊の発行をやめてしまいました。
今は日曜日どころか、毎日夕刊がない時代になってしまいました。
そんな時の流れが感じられる、本書が単行本として刊行されたのは、1999 年だそうです。
もう 15 年も前なんですね。確かに、時間が経っています。

どのお話も興味深く読みました。
先に試験問題として部分的に読んでいた 3 つは、より丁寧に読みました。
やっぱり、お話を通しで読んでみたほうが、感想がぜんぜん違います。
国語の試験って、分かんないな。。
「順当に考えれば、答えはこれだろう」というのは分かりますが、
作者の思いと国語の試験の答えが合っているかどうかは、深く考えてはいけませんね。
「さかあがりの神様」なんて、試験問題として部分的に読んだだけのときは、
神様は死んだお父さんの亡霊に違いないと思っていました。お話を通して読んで
推測のいい加減さに愕然としました。本当はもっと奥が深くて、切ないお話でした。

個人的に好きなのは、「セプテンバー ’81」と「後藤を待ちながら」、「卒業ホームラン」です。
特に「セプテンバー ’81」は妙に印象的というか、読みながら、
カラスちゃんと主人公の様子が頭の中でリアルに再現されました。
これ、実写化したら面白いと思うんだけど、無理だろうな・・・。

短編が集まった本ですので、細切れの時間に気楽に読めます。
通勤の友にお勧めです。




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Sanchai

うしこさん、私のブログをご紹介下さりありがとうございました。

わけあってなかなか記事を更新できておりませんが、細々とながら本は読んでいますので、またご紹介したいと思います。
by Sanchai (2014-03-01 08:37) 

うしこ

>Sanchai さん

こちらこそ、いつも有益な書評をありがとうございます。
お忙しいのですよね・・・はやく落ち着かれますように。
by うしこ (2014-03-01 10:58) 

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