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TOKYO 0円ハウス 0円生活 [活字中毒のトモ]


TOKYO 0円ハウス 0円生活 (河出文庫)

TOKYO 0円ハウス 0円生活 (河出文庫)

  • 作者: 坂口 恭平
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2011/05/07
  • メディア: 文庫


魚柄 仁之助さんの「冷蔵庫で食品を腐らせない日本人」の巻末に、
この本が紹介されていて、面白そうだったので購入しました。
0 円ハウスってナニ?
魚柄さんの本につながりがあるのなら、節約に関する本だろうか・・・
そういう軽い気持ちで買ってみたのですが、
開いてみたら、ホームレスの話でした。

著者の坂口さんは、「0円ハウス」などの本を出版し
「家」のあり方をとことん考え続けている建築家です。
「建築家」というと、設計図をきちんと作って斬新なデザインの建築物を建てる人
のイメージがありますが、彼はそういったものにあまり興味のない方で
「家は、独力で、図面なんかに従うのではなく、
直観で、毎日自分の体のように変化させながら、作り続けた方がいい」
という、異色の建築家です。
そんな坂口さんが、興味を持つ建築物というのが、
ホームレスの暮らすブルーシートの家なのでした。
「ホームレス」と言われる彼らですが、ブルーシートの家はどうしてなかなか
れっきとした「家」であり、結構快適に暮らせること
そしてそこの住人は、世間的には厳しい目で見られていますが
そこでの暮らしをかなり楽しんでおり、また人生も豊かであること
などが書かれています。

大学の卒業論文や「0円ハウス」の出版などを通じて
隅田川のブルーシートハウスを研究し続けていた坂口さんですが
ある日、まだ訪ねたことがない家から、おいしい餃子の焼ける音が聞こえてきました。
見ると、焼いているのは女性。
女性のブルーシートハウス住人が珍しかったことから声をかけたところ
そこの「世帯主」鈴木さんと出会います。
鈴木さんは、その暮らしぶりを隠すことなく見せてくれたのですが
なんと食費以外は 0 円で暮らしていることが分かったのでした。
住居も、衣類も、移動手段の自転車も、みんなタダ。
しかも盗んできたわけではなく、好意で譲ってもらったものばかりだといいます。
そして、空き缶を集めることで「食費」を稼ぎ、結構美味しいものを食べ
お酒も楽しんでいます。
近くには「仲間」もいて、いろいろと助け合って暮らしているようです。

鈴木さんの、楽しそうな暮らしぶりを読んでいて思いました。
もしかして、お金ってそんなに必要ないものなのかも・・・?
だけど、こうやって暮らしていくには「いい人」じゃないと難しいだろうなあ。
・・・てことは、「いい人」でない人ほど、お金に頼って暮らさざるを得ないのかしら。
お金にこだわる人は「いい人」ではない・・・?
(これは一概には言えませんよね)

物をいろいろと買い込まなくても、楽しい暮らしは可能である
という当たり前のようなことが良く分かった 1 冊でした。
気楽に読めるし、内容も面白いので、お薦めいたします。
ただ、作者が 0 円ハウスにたどり着くまでの人生の軌跡も本書に書いてありましたが
それは本を分けても良かったんじゃないかと思いました。
鈴木さんの暮らしぶりだけで、十分面白い本になったのに。




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