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プリズム [活字中毒のトモ]


プリズム (幻冬舎文庫)

プリズム (幻冬舎文庫)

  • 作者: 百田 尚樹
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2014/04/24
  • メディア: 文庫


同僚が貸してくれました。
百田 尚樹さんの本を読むのは初めてです。

梅田 聡子は 32 歳の専業主婦。
不妊治療のために会社を辞めましたが、暇を持て余して
家庭教師のアルバイトに行くことにしました。
家庭教師センターから紹介された仕事先に行くと、そこはすごい豪邸で
手入れの行き届いた庭がありました。
生徒に勉強を教えた後、庭に出る許可をもらった聡子は
その庭で不思議な男性と出会います。
会うたびに性格が違い、聡子と初対面の様子を見せるその男性は
家主の弟で、解離性同一性障害を抱えていたのでした。

切ないお話でした。

解離性同一性障害というと、こんなきれいなお話では済まないと思うのですが
障害を抱えている本来の人格、宮本 広志の中に存在する
別の人格である村田 卓也と聡子との切ない恋のお話には、
読んでいてとてもやりきれない気持ちにさせられました。
確かに存在する人格なのに、解離性同一性障害を治療すれば
愛する人はいなくなってしまう。
けれども、治療は進めなくてはいけない。
こんなに「かなわぬ恋」という言葉がぴったりくるほどの恋の相手があろうかというお話でした。

お話の中で、聡子は何度も考えています。
「酔っぱらったときに出てくる性格と、しらふのときの性格が違うようなものだろうか」とか
「本当の自分をひた隠しにして生きている一般の人とは何が違うのか」とか
「外面的な仮面であるペルソナとは違うのか」とか
「反動形成されて作られた人格が、ずっと出ていたら、それは "本来の性格" と
言ってしまっていいのではないか」とか。
考えれば考えるほど、分からなくなります。

それに「卓也が表に出ていられるのは 6 時間が限度」とか
「恐怖を感じると別の人格が現れる」という状態がなかなか想像できないので
解離性同一性障害に関する別の本も読んでみようと思いました。
ビリー・ミリガンあたりが有名ですね。

M さん、いつも面白い本を貸してくれて、どうもありがとう。



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