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蒲団 [活字中毒のトモ]


蒲団

蒲団

  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2012/09/27
  • メディア: Kindle版


林 修先生の特論
「志賀 直哉と太宰 治は女性にもてるけれど、田山 花袋と武者小路 実篤は、もてない」
を検証するシリーズ第 3 弾。
(第 1 弾は こちら、第 2 弾は こちら

主人公、竹中 時雄は売れない作家で、文筆業だけでは食べていくことができずに
地理書の編集を手伝って生計を立てています。
年は 34、5 歳。結婚後数年たち、子供も 3 人目が生まれようかという世帯主でした。
日々の暮らしに飽きて、できるならば新しい恋をしたいと痛切に思っていたところ
彼のファンだという美しい女学生、横山 芳子から
「弟子にして欲しい」という手紙を受け取ります。
最初は、つれなくあしらっていた時雄でしたが、芳子のあまりの熱心さに負けて
彼女を家へ下宿させ、文学の師匠となったのでした。
家に帰ると、ピチピチの美女がにこやかに出迎えてくれる!
生活には一気に彩が増し、時雄は最初は有頂天だったのですが
やがて芳子に恋人ができ、彼は両人を取り持つような役割をになわされ
その理不尽さに悶絶します。

武者小路 実篤さんの「友情」と同じく、この「蒲団」でも
主人公が勝手に女性に恋焦がれて、悶絶しています。
しかも今回の相手は、自分より 1 回り以上も若い女性。
妻子がいるのに、こんなピチピチの女性を自宅に住まわせて
彼女の行動に心狂わされている主人公は、アホだとしかいいようがありません。
さらには、彼女の心が別の男性に向いているからといって
奥さんの作ったおかずにケチをつけ、当り散らしたりもしています。
よくもそこまで、奥さんのことをコケにできたものです。
読めば読むほど、時雄の行動はみっともなくて
女性としてはイライラさせられてばかりでした。
確かにこんな人、今の時代なら結婚できないでしょうね。
結婚できたとしても、あっという間に離婚しそう。
逆に、昔だったから、当人一人だけが勝手に心乱される程度で済んでいて
今の時代だったら、確実に修羅場を迎える道を突き進んでいるように見えます。
そう考えると、こういう性格の人は、
今も昔も相変わらずというか、現代でもたくさんいらっしゃるようです。
奥さんにばかり不満を持って、自分では何一つ改善できないくせに
「新しい恋をしてみたい」だあ?寝言は寝て言え、と思います。

芳子とその恋人には、実在のモデルがいたようです。
こんな小説を発表されて、モデルの方はさぞかし困られたのではないでしょうか。
こういうところも、人のことをあまり考えない、自己中心的な人だという印象を与えます。

確かにもてない、というか、個人的に好きになれない人だと思いました。
私の気持ちなんて、どうでもいい話でしょうが・・・。



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