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のろのろ歩け [活字中毒のトモ]


のろのろ歩け (文春文庫)

のろのろ歩け (文春文庫)

  • 作者: 中島 京子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2015/03/10
  • メディア: 文庫


読書ブロガー Sanchai さんの書かれた 記事 を読んで、おもしろそうだと思って寝かせていたところ
文庫化されたというお知らせを Amazon からもらったので、購入して読みました。

この本は、3 つの短編で構成されています。

・天燈幸福
・北京の春の白い服
・時間の向こうの一週間

本書のタイトル「のろのろ歩け」は、「北京の春の白い服」に出てくる言葉で
北京語のあいさつ言葉「慢慢走」の直訳だそうです。
お客さんがお店を去るときに、店員さんがよく使うらしく
意訳すると「ありがとうございました。お気をつけて」みたいな意味であるようです。
お話を読んでみると、確かに意訳よりは直訳の方が、
お話の内容にぴったりです。

3 作とも、お話の舞台は中国で、それぞれ台湾、北京、上海となっています。
街並の描写がとても細かいので、
中島さんが中国で長く暮らした経験をお持ちなのかと思ったのですが
本に書かれていた著者略歴や、彼女のインタビューが掲載されている Web ページなどを読んでも
それらしいことは書いてありませんでした。
書く前の取材をきっちりされている、ということかしら。

どのお話も、日本女性の主人公がふとしたきっかけで中国男性と知り合うのですが
決して深い仲になるわけではなく、かといって恋心が芽生えていないかといえば
それは嘘になる、そんな微妙な関係が維持されたまま、お話が終わります。
それに主人公にはちゃんと恋人や夫がいるケースもあり、なんというか
人生思うようになならないもの、という大前提があり、長い人生のほんの一コマ
こんなことがあったよ、こんな人との出会いがあったよ、そんなスタンスが垣間見えるお話でした。

最近、老子や行動経済学など、少し考える力が必要な本をいくつか読んでいたので
この本は本当に息抜きの気分で、リラックスしてあっという間に読めました。
おもしろかったので、彼女の作品を他にも読んでみようと思います。

Sanchai さん、良い作品をご紹介くださり、ありがとうございました。





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