魔女の宅急便(2) キキと新しい魔法 [活字中毒のトモ]
前作の最終話で、独り立ちしてちょうど 1 年経ち、里帰りしたキキでしたが
なんとなく自分の「ホーム」はコリコの町である気がして
実家に長居をせずにコリコへ帰ってきます。
その後も宅急便屋さんの仕事に精を出すキキでしたが
自分の運んだものが、受取人を不幸にする可能性に気づいたり
お客さんの要求が無理難題であったりして、だんだん考え込むようになります。
すると魔法にも迷いが出たようで、とうとうキキは飛ぶことができなくなってしまうのでした。
1 巻と比べて 2 巻はかなり奥が深いです。
キキの心も、お客さんの心も、入り乱れて
読んでいるこちらも、暗い気持ちになったり、驚いたりします。
お客さんの要望が、どれもこれも、重要なメッセージを含んでいます。
メッセージが重たいがゆえに、キキの心はかき乱され
飛べなくなったり、あるいは逆に励まされたり、ほうきで飛ぶがごとく乱高下を繰り返します。
成長するにつれて、物事を深く考えるようになる、キキの様子がよく表れています。
本書には短編が 16 話入っていますが、私が好きなのは次の 2 つです。
第 10 話: キキ、さんぽを運ぶ
第 11 話: キキ、赤い靴を運ぶ
どちらもキキが上手に飛べなくなっている間のお話ですが、お話に登場する老人
(第 10 話ではおじいさん、第 11 話ではおばあさん)が
キキに大変重要なメッセージを伝えてくれています。
それと、1 巻ではほうきで飛んでばかりいたキキでしたが
2 巻になると「魔女は飛んでばかりいないで、たまには歩いたほうがいい」という
台詞が何度か登場するようになります。
確かに、キキが飛ぶシーンと、歩くシーンとでは、時間の流れが違うように読めます。
そしてキキが歩いているときは、たいてい深く考え事をしているときのようで
思い悩み具合がさらに重たく感じられ、キキを応援したくなります。
タグ:魔女の宅急便
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