ヨーロッパから民主主義が消える [活字中毒のトモ]
川口マーン惠美さんという方を、本書で初めて知りましたが
90 年代からご活躍のようです。
この本が読みやすかったので、別の本も読んでみたいと思いました。
EU という統合体は、見た目は理想を掲げてきちんと機能しているように見えるけれども
内情はとんでもなくて、ヨーロッパは統合に向かうどころかバラバラになりつつある
という現状が分かりやすく書かれた本です。
川口マーンさんはドイツのシュトットガルドにお住まいで、
経歴を読むと、もともとピアニストのようです。
この手の本を書くのは政治学者が多いので、本書のカバーに書かれた
著者の略歴を読んで、まずびっくりしました。
そして読み進めていくと、表に現れている事実が丁寧に書かれている本で
なんというか、憶測や変なソースからの情報が一切なく
ご自身が身近で見たこと、知り得たことを冷静に書いておられるという印象が強かったです。
「オキナワ論」を書かれたロバート・エルドリッヂさんと、立ち位置が似ているかも。
本の内容はというと、崇高な理想を掲げて発足した EU も
生きるのに必死な難民がああも大量に押し寄せてきては、お手上げというか
のんびりと理想を語っていられる状況ではないところまで追いつめられているようです。
EU 崩壊の原因が難民・・・こんな結末、EU が発足した当初、誰が想像したでしょうか。
昔は、強大になった EU がアメリカと戦争をする未来を予測していたテレビ番組とか
あった記憶がありますが、予想って本当にアテにならないですね。
あと難民の現状というか、死に物狂いで EU にやってきた後
彼らがどのようなコースをたどって強制送還されるのか
それなのにどうして必死で EU にやってくるのかについて
非常に詳しく書かれていて、勉強になりました。
強制送還されるから、移民やめとこう、にはならないんですね。
強制送還されるまでに出産すれば、高度な医療が受けられることとか
ユーロでもらえる生活保護費も魅力、難民の間に受けることができる教育も魅力だそうで
強制送還されるまでに受けられる恩恵目当ての人たちも多くいるのだそうです。
そんな短期的な恩恵の為だけに、命を懸けて国境を超える人たちが多くいる
そしてそれにビジネスがからんでくる・・・もう民族大移動 Part Ⅱってこと?
今後もヨーロッパからは、目が離せなさそうです。
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