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せいきの大問題: 新股間若衆 [活字中毒のトモ]


せいきの大問題: 新股間若衆

せいきの大問題: 新股間若衆

  • 作者: 木下 直之
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2017/04/27
  • メディア: 単行本


股間若衆―男の裸は芸術か」の続編です。
今回は、男性だけでなく女性の裸体についても、
「芸術」としてどこまで表現しても許されるのか、どこからがタブーで、どうしてダメなのかが
木下さんなりの見解を交えて、深く探られています。
道端に立っている裸像だけでなく、春画やろくでなし子さんのアートにまで話は及んで
「芸術とは?何がダメで、何がいいのか?」が論じられています。

アートとして描かれる裸体は「どれほど人間に見えようとも人間ではない」のだそうです。
なにしろ、本当のところが描かれていないのですから。
まあ描いてしまってはおしまい、という意見もありますよね。
どこまでが OK で、どこからがおしまいなのかを、
芸術作品の作り手と鑑賞者が、時代の風潮に合わせて判断し続け、今に至るようです。
春画は今でこそアートになりましたが、発表された当時は、
実際にどのような人たちが観賞したのか、興味があります。
現代ののアートに比べて、非常に大らかで、隠し立てのない
そしてちょっぴり笑いをとるように描かれているので、これが昔の作品だというのが
にわかには信じがたいというか、実は昔は今よりも大らかな時代だったというのは
知識として知っていても、実際のところこの目で見てはいないので
できれば見てみたいと思いました。

「裸の王様」の原題が「皇帝の新しい着物」だったという事実も興味深かったです。
「裸の王様」の方が圧倒的にインパクトがありますよね。
考えた人、すごいです。

作者の木下さんは、非常に大らかな意見をお持ちで
(でなけりゃ、こんな本書きませんよね)
ろくでなし子さんの裁判に対する意見書を提出し、
さらには裁判を傍聴した感想を本書に載せていらっしゃいます。
彼はろくでなし子さんをおおむね支持しており、
「彼女の表現活動は卑猥な感じはしない」とコメントされています。
こうなったら、ろくでなし子さんの「ワイセツって何ですか? (「自称芸術家」と呼ばれた私)」も
読んでみるべきですかね?
きっとこういう人たちがたくさん出てくると、芸術の概念も変わるんだと思います。
もうそろそろ「奇跡的にくっついている葉っぱ」がなくなる時代なのかもしれません。



せいきの大問題: 新股間若衆

せいきの大問題: 新股間若衆

  • 作者: 木下 直之
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2017/04/27
  • メディア: 単行本




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